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デロンギ社主催のコーヒーイベントに当社調香師がパネラーとして参加
6月27日(火)に開催されたデロンギ株式会社主催のコーヒーイベント「コーヒーサミット」に当社の調香師・匹田愛がパネラーとしてコーヒー談義に花を咲かせました。
パネルディスカッションの問答は次の通りです。
1.食品の香り・味についての科学的知見と調香師としての経験について
→コーヒーだけでなく飲食物全てにおいて、香りがなければ味は感じません。(風邪をひいて鼻が詰まっている時など食事の味を感じないのは皆さん一度は経験されていると思います。)特に香りを楽しむ目的であるコーヒーにおいては香りがなければ、ただの水やお湯同然です。
2.味覚と香りの関係、味覚ごとの香りの感じ方について
→舌で感じ取れる味覚は現在5種類(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)と言われています。ですが、人間が味として感じるためにはこれらの舌で感じる5種類の情報と、嗅覚細胞で感じとる香気成分の相乗効果が必要です。
3.嗅覚神経と味覚について
一般的に嗅覚で感じる食べ物の香りについては下記の2種類があると言われていますが、特に嗅覚と味覚の相関関係など、まだまだ解明されていないことが多いです。
一般的に嗅覚で感じる、食べ物の香りについては下記の2種類があるといわれています。
①直接鼻で感じた香り(オルトネーザルアロマ)
②飲食中に喉~鼻へ抜ける香り(レトロネーザルアロマ)
これは私の個人的な意見ですが、味覚の要素と香気成分の種類の多さを考えただけでも、単に飲食で感じる「味」と一言でまとめることが出来ないほどの膨大な組み合わせがあるのではないかと思います。味覚で感じる感覚と、②のレトロネーザルアロマの組み合わせだけでも生きているうちに同じ組み合わせには2度と遭遇できないのではないかと…。
今日であった味や香りは一期一会…。そう考え始めると、調香師とは終わりのない道であると改めて思うと同時に、未知の味や香りとの出会いにワクワクしてしまう日々です。
4.コーヒーの成分について
・コーヒーの香気成分は約900種(分析技術の進歩により増える可能性大)
・コーヒーには特徴のある香気成分がなく、この900種が少しずつ合わさることによる総合力で構成されている非常にデリケートな香りです。
・コーラは3~5品、グレープも10品くらいでそれらしい香料は作ることができます。
コーヒーの代表的な香気成分としては下記があげられます。
各々が実際にどのような香りなのか、個人的な香りや味の評価になりますが、ご参考ください。
①香ばしいコーヒーフラノン(豆を蒸したような香り、少量だとメープルのような香りにも感じます)
②フルーティな甘さのフルフラール(渋柿や古くなったジャムのようなドロドロした香りです。赤ワインの樽っぽい雰囲気もあります)
③みずみずしいフルーツ感のベンズアルデヒド(杏仁豆腐の香り、桃のフレーバーによく使われます。フルーツポンチのシロップのような味です。意外ですがアーモンドにも入っています)
④フローラル感のあるリナロール(葉っぱ、グレープフルーツの皮のような香り、ラベンダーやベルガモット、ローズなど多くの精油に含まれる、フローラルグリーンの香り。香料業界、調香師の中では非常にポピュラーは香料の1つです)
⑤インドール(ジャスミンをはじめとした主に白い花に含まれている成分、高濃度で嗅ぐと糞便臭がしますが、少量だと香りや味に深みやコクを付与します)